機能性ディスペプシア
胃の痛みや胃もたれといった不快な症状が続いているのに、病院で胃カメラ検査を受けても「特に異常はありません」と言われた経験はないでしょうか。このように、胃の粘膜には潰瘍やがんなどの目に見える病変がないにもかかわらず、胃の働きが悪いために不快な症状が慢性的に続く病気を機能性ディスペプシアと呼びます。かつては神経性胃炎や胃下垂などと片付けられてしまうことも多かったのですが、現在では原因やメカニズムが解明されつつある立派な疾患です。当院では、こうしたお腹の悩みに対して専門的な知見からアプローチを行っています。患者さんの不安に寄り添い、生活の質を向上させるための診療に力を入れています。お腹の調子が優れない日々を当たり前と思わず、ぜひ一度ご相談ください。
機能性ディスペプシアの症状について
機能性ディスペプシアの症状は、大きく分けて食後に出やすい症状と、食事に関係なく起こる症状の2つのパターンがあります。これらが単独で現れることもあれば、複数が組み合わさって現れることもあり、症状の出方は患者さんによって千差万別です。
主な自覚症状
- 食後の胃もたれ・・食事をした後に、胃の中に食べ物がずっと残っているような不快な重苦しさが続く状態です。
- 早期飽満感・・食べ始めてすぐに、まだそれほど食べていないのにお腹がいっぱいになってしまい、食事が続けられなくなる状態を指します。
- 心窩部痛(しんかぶつう)・・みぞおち付近に感じる痛みのことです。しくしく痛む、あるいは差し込むように痛むなど、人によって感じ方は異なります。
- 心窩部灼熱感(しんかぶしゃくねつかん)・・みぞおちのあたりが、焼けるように熱く感じる不快な感覚のことです。
これらの症状が、少なくとも3ヶ月以上前から始まり、現在まで6ヶ月以上続いている場合に機能性ディスペプシアを疑います。ほかにも、お腹の張りやげっぷ、吐き気などが伴うこともあります。症状の詳細については「腹部膨満感」のページや「胸焼け」のページも併せて参照してください。
日常生活への影響
「命に関わる病気ではない」と言われることもありますが、患者さんにとっては非常に辛いものです。食事が楽しめなくなったり、外出がおっくうになったりと、日常生活の質を著しく下げてしまうことがこの病気の大きな問題です。当院では、患者さんがどのような場面で一番困っているのかを丁寧にお聞きすることを大切にしています。
機能性ディスペプシアの原因について
なぜ胃の粘膜に異常がないのに、痛みやもたれが起きるのでしょうか。その背景には、胃の運動機能のトラブルや知覚過敏など、複数の要因が複雑に絡み合っていると考えられています。
胃の運動機能障害
胃には、食べ物を一時的に貯めるために広がる働き(適応性弛緩)と、食べ物を十二指腸へ送り出す働き(胃排出能)があります。機能性ディスペプシアの患者さんは、これらの機能がスムーズに働かないことがあります。胃が十分に広がらないと、少しの食事ですぐにお腹がいっぱいになる早期飽満感が起こり、排出が遅れると食後のもたれを感じやすくなります。
内臓知覚過敏
胃の神経が敏感になっている状態です。通常なら痛みを感じないような少量の食べ物やガスの刺激、あるいは胃酸の刺激に対しても、神経が過剰に反応してしまい、痛みや重苦しさを感じてしまいます。
心理的・社会的ストレス
胃腸の働きは自律神経によってコントロールされているため、心理的なストレスや過労、睡眠不足などは胃の働きに大きな影響を及ぼします。悩み事がある時に胃が痛くなるのは、脳と胃腸が密接に関係しているためです。この脳腸相関の乱れが、症状を悪化させる一因となることがよくあります。
その他の要因
- 生活習慣の乱れ・・高脂肪食の摂りすぎ、不規則な食事時間、過度の飲酒や喫煙などは胃への負担を強めます。
- ピロリ菌感染・・ピロリ菌による胃粘膜の炎症が、症状に関与している場合があります。ピロリ菌については「ピロリ菌」のページを確認してください。
- 胃酸の分泌・・胃酸そのものの分泌量が多くなくても、敏感になった胃粘膜が酸に反応して痛みや灼熱感を引き起こすことがあります。
機能性ディスペプシアの病気の種類について
国際的な診断基準では、機能性ディスペプシアはその中心となる症状によって大きく2つのタイプに分類されています。ご自身の症状がどちらに近いかを知ることは、適切な対応への第一歩となります。
食後収縮期不全症候群(PDS)
主に食事の摂取に関連して症状が現れるタイプです。食後の胃もたれや早期飽満感が主な症状となります。胃の中に食べ物が入ってきたときに胃がうまく広がらない、あるいは消化された食べ物を送り出す力が弱いことが主な要因です。
心窩部痛症候群(EPS)
食事の有無にかかわらず、みぞおちの痛みや焼けるような感覚が現れるタイプです。心窩部痛や心窩部灼熱感が主な症状です。内臓の知覚過敏や胃酸への過剰な反応が強く関わっていると推測されます。空腹時に痛みが強くなるケースもあります。
ただし、これら2つのタイプが明確に分かれているわけではなく、両方の症状を合わせ持っている患者さんも少なくありません。当院では丁寧な診察を通じて、どちらの要素が強いかを判断し、治療方針を組み立てていきます。
機能性ディスペプシアの治療法について
治療のゴールは、症状をゼロにすることだけではなく、症状をうまくコントロールしながら普段通りの生活を快適に送れるようにすることです。当院では生活指導と薬物療法を組み合わせて、多角的にサポートいたします。
生活習慣の改善
毎日の生活リズムを見直すだけで、症状が和らぐこともあります。特に以下の点に注意してみてください。
- よく噛んで食べる・・胃の負担を減らすため、一口30回程度を目安にゆっくり噛んで食べましょう。
- 腹八分目を心がける・・一度にたくさん食べすぎず、胃をパンパンにしないことが大切です。
- 刺激物を控える・・香辛料、カフェイン、アルコール、脂っこい食事は胃の動きを停滞させたり知覚過敏を助長させたりします。
- 十分な睡眠と休養・・自律神経を整えるために、規則正しい睡眠を確保しましょう。
薬物療法
症状の種類や強さに合わせて、いくつかのお薬を使い分けます。一つのお薬で効果が不十分な場合は、複数を組み合わせることも検討します。
- 消化管運動機能改善薬・・胃の動きを活発にしたり、広がりやすくしたりするお薬です。もたれや早期飽満感に適しています。
- 酸分泌抑制剤・・胃酸の分泌を抑えるお薬です。みぞおちの痛みや焼けるような感じがある場合に有効です。
- 漢方薬・・お腹の働き全体を整えたり、冷えを改善したり、ストレスによるお腹の張りを和らげたりするのに役立ちます。
- 抗不安薬・抗うつ薬・・脳腸相関の乱れを整えるために、少量使用することがあります。神経の過敏さを和らげる期待が持てます。
内視鏡検査の重要性
機能性ディスペプシアの診断を下すためには、まず胃がんや胃潰瘍など、薬物療法以外の処置が必要な病気が隠れていないことを確認しなければなりません。日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医である院長は、精度の高い検査を提供することで、まずは「悪い病気がない」という安心感をお届けします。検査については「胃内視鏡検査(胃カメラ検査)」のページを参照してください。
機能性ディスペプシアについてのよくある質問
Q1. 検査で異常がないのに痛むのは、気のせいでしょうか?
A1. 決して気のせいではありません。胃の粘膜は綺麗でも、胃の動きが固かったり、神経が敏感になっていたりすることは検査画像には映りませんが、実際に体の中で起きている変化です。当院ではその辛さを真摯に受け止め、症状の改善を目指します。
Q2. ストレスがなくなれば完治しますか?
A2. ストレスは大きな誘因の一つですが、それだけが原因ではありません。ストレスを完全になくすことは難しくても、お薬で胃の動きを助けたり、食事の工夫をしたりすることで、ストレスがあっても症状が出にくい体質を目指すことは可能です。
Q3. ピロリ菌を除菌すれば治りますか?
A3. ピロリ菌を退治することで、胃の炎症が改善し、ディスペプシアの症状が軽減する患者さんもいらっしゃいます。ただし、除菌だけで全ての症状が消えるわけではないため、他の要因も踏まえた継続的な診療が必要です。
Q4. 胃カメラは毎年受けたほうがいいですか?
A4. 症状が続いている場合や変化した場合は、新しい病変が出ていないかを確認するために定期的な検査を推奨します。特に40歳以上の方は、早期発見のために定期的なチェックが大切です。詳しくは「当院の検査」のページをご覧ください。
院長より
胃の不快感は、毎日の楽しさを半減させてしまうものです。当院は、機能性ディスペプシアの診療に深い知見を持ち、お一人おひとりのライフスタイルに合わせた治療を提案しています。地域のかかりつけ医として、まずは丁寧にお話を聞くことから始めます。2診体制によるスムーズな診療を心がけており、女性医師も在籍しておりますので、どなたでも安心してご来院いただけます。「病気ではないと言われたけれど辛い」という方は、ぜひ私たちのクリニックへご相談ください。専門医による適切なアプローチで、穏やかな日常を取り戻すお手伝いをいたします。
- 医院名
- 医療法人 杉山クリニック
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- 〒496-0847
愛知県津島市中地町4-57-6 日比野駅:徒歩10分 - TEL
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